Witch さんの感想・評価
3.4
主人公は魅力的だったが、構成に少々疑問 →やっぱり2期ありきだったか・・・
【レビューNo.46】(初回登録:2023/3/28)
コミック原作の2023年作品。全12話
(ストーリー)
付喪神が存在し、その付喪神と対話し、常世へ還すことを生業する「塞眼」が存在する世界。
塞眼御三家の一つ・岐家の次期当主「岐兵馬」は兄・姉を付喪神に殺されたため、対話どころか
憎しみをもって力ずくで付喪神を封殺していた。それを見かねた祖父「造兵」は、京都で暮らす
長月家に兵馬を預けることを決意。当主・長月ぼたんは”家族”として愛する六人の付喪神と共棲
している稀有な存在。(その環境下で付喪神への偏見を改めさせることが目的)
しかし兵馬の考えがすぐに改まるわけもなく、初日から付喪神たちと衝突してしまう。
(評 価)
・主人公は魅力的に描かれていた
正直よくある「妖バトルモノ」だろうと思い、即切りするつもりだったのですが、意外と兵馬
という人物が面白かったので、継続視聴することに。
この手の主人公にしてはかなり人間臭さが滲み出ていて、長所・短所を含め愛すべきキャラって
感じですかね。
・正義感はとても強いが、一方的な思い込みが強く融通が利かない。
(最初は付喪神への嫌悪感を隠すそぶりもなかった)
・愚直で生真面目すぎてお堅くやはり融通が利かない。
・悪気はないが(経験不足から)女性に対するデリカシーがない言動をしてしまう。
それに恋愛に奥手というか、そもそも経験がないから、対処法を持ち合わせていない。
(この辺りある意味どこかズレたところがあり、それが味となってギャグにもなっている)
・それでいて自分の誤りを素直に認める謙虚さ・潔さを持ち合わせている。
・理解を示した相手には礼を尽くし、相手のことを知ろうと努力する。
・自分の未熟さをわきまえており。常に鍛錬を怠らない。(かなりストイック)
・「塞眼」としての強さも強すぎず、弱すぎず丁度いい。(なので仲間との共闘も映える)
およそ令和の時代に似つかわしくない、愚直で妙に肩に力が入った主人公が、この作品の味と
なり上手く機能してるという印象ですね。
・やはり2期ありきの構成だった
・なので前半は面白いです。憎むべき付喪神と人間が共棲していることが理解できず、反目し
たり、実際の彼らを観察し、自分に非があるのかも譲歩し始めたり、特に4話では
{netabare}「実は兵馬は、ぼたんの『婿候補』として見極められていた!」{/netabare}
という特大爆弾が投げ込まれ、「何や、このまさかの面白展開はwww」という感じで、今後
に期待大でしたが・・・
・その後、京都塞眼「門守家」や(強力な力をもつ付喪神)「大具足・挂」の存在や長月家の秘密
等「もののがたり」という作品の全体像は見えてくるのですが、終わってみると
{netabare}・兵馬は兄・姉を殺した「唐傘の付喪神」を追っている
→ ほとんど情報なし
・4話での大技・ぼたんとの恋愛模様
→ 両人とも保留でほとんど進展なし
・兵馬の人間としての成長
→ 前半からの進展なし{/netabare}
ってことで、作品紹介を観ている感が強く、アニメ作品として「爪痕が残らない」という印象
なんですよね。六人の付喪神や主要人物はそれなりにキャラ立ちしており、大きなバトルシー
ンもあり悪くはないのですが、物語に芯が通ってない感じで何か締まらないというか・・・
・強いて言えば、{netabare}過去のトラウマで人間不信となっているぼたんに、兵馬が
「自分を信じてみてはどうか、自分はぼたんを守り通す」
と誓いを立てて終わるラストは評価したいのですが、ただこれも「恋愛感0」って感じなんで、
こちらが期待してるものとはちょっと違うかなっと(笑){/netabare}
・全体的に後半は尺の使い方やテンポ等「?」と感じるところが多く、「2期の予定があるのか?」
と勘繰るレベルだったのですが・・・
→ やっぱり2期ありました!!7月予定だそうです。なので後半はある意味2期に向けての仕込み
的な要素が強かったようですね。
個人的にはスッキリしました。ということで総合的な評価は2期に持ち越しですね。
コロナ禍以降、スケジュール確保等でこういう分割形式にせざるを得ない事情は理解できますが、これ
ってホントレビュア泣かせですよね。1期の正当な評価が難しいなっと。